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不倫の謝罪文を書くメリット・デメリット
謝罪文には、不倫被害者(慰謝料請求者)の怒りをしずめ、減額交渉をしやすくするというメリットがある一方で、裁判になったとき、不倫をした証拠になってしまうというデメリットもあります。そのため、どちらを選択すべきかと、迷われるかたが多いようです。
法律相談では、弁護士先生が「謝罪文を出さないほうがよい」と言うことが多いようですが、これは裁判で相談者が不利になることを懸念しての回答でしょう。法律、裁判の専門家である弁護士先生は、裁判になったときのことまで視野に入れて依頼人の利益を考えるのです。
とはいえ、謝罪文を出さなかったことで、「まったく反省していない!」と請求者の怒りをかい、うまくまとまるはずだった話が裁判にまで発展してしまうということもよくあります。
ですから、請求者が早期解決を最優先にして謝罪文を要求しているのかなど、請求者の意向や状況をまずは慎重に検討する必要があります。そのうえで、謝罪文を出すべきかどうかの判断をしましょう。
謝罪文を書いた方がよいケース
不倫被害者の多くは、配偶者(パートナー)の不倫で傷ついた心を少しでも慰めたいという思いで慰謝料を請求しているのです。
謝罪文を要求する理由がそれと同じであるならば、不倫をしたほうも要求に応じるべきでしょう。離婚をしない限り、配偶者との接触、交際は二度としないでもらいたいという強い思いが請求者にはあるのです。
不倫をした側がその思いに応えれば、請求者は安心し、妥当な慰謝料で和解に合意してくれるかもしれません。裁判をせずに早期解決を図ることはお互いの利益につながるはずです。
謝罪文の書き方
謝罪文のひな形を例示しておきます。
不倫の謝罪文にひな形、サンプルなど無用だと言うかたもいますが、当職はそうは思いません。
日常生活で謝罪文を書くことなどまずないでしょう。そのため、書き方がわからずに悩まれる相談者がほとんどです。もし失礼な手紙を送ってしまったら、相手を更に怒らせてしまうことにもなりかねません。
ご自分のした行為を反省し、慰謝料を支払うことの意味を十分に理解したうえで謝罪文を送れば、相手の感情も和らぎ、不当に高額な慰謝料請求などを引っ込めてくるケースが多いのです。
○○ ○○様
謹啓
私、○○ ○○は、貴方様の夫(妻)である○○様と平成○年○月頃より平成○年○月頃まで不倫交際していた事実を認めます。
貴方様に多大なご迷惑をお掛けしたことを深く反省し、おわび申し上げます。
また、私の行為により、貴方様と○○様の夫婦関係が危機にあることを知り、私のしてしまった愚かな行為を悔いております。
私の軽率な行動はどんなに謝っても赦されるものではないと、十分承知しております。
貴方様に精神的苦痛とご迷惑をお掛けしてしまった事を深く謝罪するとともに、貴方様の被ったご負担を償うために慰謝料 金、○○○万円をお支払いしたいと考えております。
何卒、今回限りお許しいただくことをお願い申し上げます。
この度は本当に申し訳ございませんでした。
謹言
平成 年 月 日
住 所
氏 名 印
- これは不倫の謝罪文のひな形です。参考にするのは構いませんが、ご自分の言葉にかえて、直筆でお書き下さい。
- 用紙は白の便箋、できれば縦書きがいいでしょう。
- 送付される場合、普通郵便ではなく、特定記録郵便をおすすめします。郵便を出した時間と、郵便受けに投函するまでの記録が残り、追跡できます。追跡番号で相手方が受け取ったことを確認できるので、届いていないのではないかという不安が解消されます。
- 当事務所では、謝罪文の作成のみのご依頼は受け付けておりません。安易に謝罪文だけを切り売りし、後で裁判に発展した場合に、謝罪文が不利な証拠となることを避けたいためです。当事務所で解決できない案件は、提携協力弁護士事務所を紹介し、引き継ぐことがあります。引き継いだ弁護士先生の弁護活動、相談者の利益を考えたうえでの方針です。
謝罪文を書かない方がよいケース
不倫の事実がなく、弁護士先生を雇ってでも裁判で戦うことを望んでいるかたは謝罪文を出すべきではありません。謝罪をすれば、やってもいないことをやったと認めることになってしまいます。
また、慰謝料を請求する側が不倫の確固たる証拠をつかんでいない場合に、証拠収集の一環として謝罪文を要求してくることもあります。こうしたケースでは安易に謝罪文を書くことは避けた方がいいでしょう。謝罪をすれば不貞行為を自白したのと同じになり、裁判を起こされたとき不利になります。
弁護士先生が依頼人に謝罪文を書かせたがらないのは、こういった事情からだと考えられます。そこで、裁判での謝罪文の取り扱いを知るために、弁護士先生サイドの見解を掲載しました。
弁護士の先生が謝罪文の送付を避けたがる理由
当職(行政書士)は弁護士先生が謝罪文送付を避ける理由について、以下の3点があると考えますが、それに対する見解を立山大就弁護士(アイゼン法律事務所)に示していただきました。
【当職が考える理由】
- 謝罪文そのものが判決で強制できるものではない(良心の自由)
- 事件が解決し、判決が確定した後、被告が謝罪に応じると了承したときに謝罪文を出せば足りる
- 解決前の謝罪文は事前に不貞の事実を認めることになり、弁護しにくくなる(不貞の確たる証拠がないとき、「請求に根拠が無い」との反論(否認)が答弁書等の準備書面に書きにくくなる)
(謝罪文送付を避ける理由について)
1と2は考えたことがありません。専ら3番ですね。
強いて4番を挙げるとすると、仮に慰謝料を支払ったとすると、その後、求償権行使の問題が発生します。
その時に、謝罪文が出てくると、不真正連帯債務における負担割合に影響がでるおそれがあるという点も考慮すべきかもしれません。
例えば、謝罪文で、自分に100%責任があるなどと書いてしまうと、不貞をした配偶者に対する求償権行使の際に、5対5の責任割合が6対4等になってしまう可能性も捨てきれません。
(謝罪文に関する法律上の条文があるのかという質問に対して)
謝罪文を書きたくないことに関する法律上の条文はありません。
やはり、専ら、不貞の証拠を作成したくないというのが理由だと考えます。
仮に、依頼者から、「先生、謝罪文を出したいので文書を作成してくれませんか?」と言われた場合には、「作成はお勧めできませんが、それでも作成をご依頼されるのであれば、作成します。しかし、結果に責任は持てませんのでご承知おきください。」などと言うと思います。
【立山大就弁護士(アイゼン法律事務所)協力寄稿】
東京都台東区上野にある、離婚など民事案件が多い法律事務所です。
謝罪文は裁判でどう扱われるのか
参考までに、裁判での謝罪文の取り扱いを示しておきます。弁護士先生は裁判所に提出する訴状を次のように書きます。
号証 | 標目 | 原本・写し | 作成年月日 | 作成者 | 立証趣旨 | 備考 |
甲1 | 和解書 | 原本 | 平成○年○月○日 | 原告 | 原告被告は○円支払う合意書を定めたこと等 | |
甲2 | 謝罪文 | 原本 | 平成○年○月○日 | 被告 | 被告が不貞の事実を認め原告に謝罪したこと等 |
立証趣旨、平成○年○月○日、被告が原告に不貞の事実を認め謝罪したこと等、として裁判所に申し立てをします。
請求する側から見た謝罪文の効果
配偶者(夫、妻)に不倫の疑いがあっても証拠がなければ慰謝料はとれません。たとえば、配偶者が他の異性と食事をしているところを写真に撮っても、それだけでは不倫(男女に肉体関係があること)の証拠とは言えず、慰謝料請求の根拠にはならないのです。
では、不倫の疑いが濃厚なのに、その確たる証拠がない場合はどうしたらいいのでしょうか。
証拠収集のためにさらに調査を進めるのも一つの手段ですが、もっとも簡単なのは当事者に不倫の事実を認めさせることです。
もちろん不倫相手も、証拠がない限り慰謝料を請求されることはないとわかっているので、すぐには事実を認めないでしょう。また、配偶者のほうも不倫相手を守ろうとしますから、口裏を合わせてアリバイ工作をするなど、なかなか自白をしてくれません。
しかし、話の進め方しだいでは、不倫をした側の「自白」を文書として残すことが可能です。そして、そのとき有効に使えるのが謝罪文なのです。
配偶者に謝罪文を書かせる方法
謝罪文は不倫の重要な証拠になります。ただし、いきなり不倫相手に謝罪文の要求をするのではなく、まずは配偶者に書いてもらうことを考えましょう。
「正直に話してくれれば今回限り許す。疑いが残ったままでは、夫婦関係の修復は難しい」などと言えば、離婚をしたくない配偶者は不倫の事実を認めてくれます。その上で、”けじめ”として謝罪文を書いてもらうのです。
誓約書
○○様
私は○年○月頃から○年○月頃まで、SNSを通じて知り合った○○○○(不倫相手の氏名)と男女の関係になり、不貞行為を○回ほど続けていました。
○○(不倫相手の名)は私が既婚者であることを知っており、私は、夫婦関係が破たんしているなどとは言っておりません。
今回の不貞を深く反省し、謝罪します。今後は、○○(不倫相手の名)とは私的接触、私的交際を止めることを誓約します。
離婚をするかどうかは貴方様の判断に一任します。
平成○○年○月○日
氏名 印
※ 直筆で書かせてください。表題は、抵抗の少ない「誓約書」という言葉にしましたが、中身は不貞を認めた謝罪文です。
不倫相手に謝罪文を書かせる方法
不倫の疑いがあるからといって、すぐに相手と会い、問い詰めても「一緒に食事をしただけ」と、しらを切られてしまいます。
そこで、先に配偶者に書かせた謝罪文を見せ、「私の配偶者はすでにあなたとの不倫を認めて謝罪をしています。あなたが認めなければ裁判を起こし、二人を呼び出すことになると思います」と話せば、不倫相手も謝罪文を書いてくれるでしょう。
ただし、ここで注意しなければならないのは、怒りにまかせて「慰謝料を請求する」などと口走らないようにすることです。慰謝料の話を先にしてしまうと、相手は警戒して、証拠になるようなものは書いてくれません。
謝罪文を書かせる目的が、「交際を止めさせて円満に解決する」ことにあるのだと、相手に思わせておくことが重要なのです。
交際禁止の誓約書に法的な効果はあるのか
配偶者(夫・妻)の不倫が発覚しても離婚をしない場合、被害者の多くは不倫をやめてほしいと望むはずです。
仮にその被害者が、不倫相手に以下のような誓約書を書いてもらい、交際禁止の約束をさせたとしましょう。
果たして、この誓約書に法的効果はあるのでしょうか?
私○○は○○様の配偶者(奥様・ご主人)○○様との不貞な交際を深くおわびし、二度と○○様と交際することは致しません。電話、メール等での一切の接触も致しません。
平成○○年○月○日
住所
氏名 印
もし不倫相手が交際禁止の誓約を守らなかったら
ご存知の通り、不倫は不法行為であり、それに対して慰謝料を請求することが法律で認められています。もちろん、相手が請求を拒んでも、裁判で勝てば、支払いを強制することができます。
しかし、不倫は法に反すると言っても、不倫をした者同士が合意のもとで性交渉をしている以上、その行為自体を裁判所が強制的にやめさせることはできません。そしてこれは、交際禁止の誓約をしている場合も同じなのです。
つまり、不倫相手が交際禁止の誓約を破ったときに、被害者が誓約の履行(不倫そのものをやめさせること)を求めて裁判を起こしたとしても、要求を認めてもらえないでしょう。誓約違反だと言って実力行使をすれば、逆に強要罪や傷害罪で捕まってしまうかもしれないのです。
では、交際禁止の誓約書を書いてもらうことには、まったく意味がないのでしょうか?
交際禁止の誓約書を書いてもらうことにメリットはあるのか
前項で述べたように、誓約書があっても交際そのものを強制的にやめさせることはできません。
ただし、再び不倫が発覚して慰謝料を請求するときに、交際禁止の誓約書を示すことである程度の増額が望めます。つまり、誓約を破られたことが被害者の精神的苦痛を増大させたと判断されるわけです。
また、不倫をした配偶者(夫・妻)に誓約書を書いてもらっている場合は、あとで離婚裁判になったときに証拠として提出できるので、一定のメリットはあると言えるでしょう。
罰則を設けて再度の不倫の抑止力にする
交際禁止の誓約だけでなく、それを破ったときの罰金(違約金)も約束させておけば、間接的ではありますが、再度の不倫にブレーキをかけることはできます。
例えば、示談書を作成する際に、「メール、密会は1回につき罰金30万円、再度不貞行為をした場合は1回につき罰金200万円を支払う」という条項を設けておきます。相手がこれに合意すれば、約束を破られたときに罰金の支払いを求めることができますし、裁判で勝てば支払いを強制することもできます。
こうした約束は、公証役場で公正証書にする際も記載してもらえますが、あくまで婚姻関係中の約束であり、夫婦が離婚したあとまで交際を禁止するものではありません。実際、公証人は「誓約事項に過ぎない」と念を押した上で記載してくれます。
交際禁止の誓約書を作成するときの注意点
不倫相手にむりやり誓約書を書かせることはできません。相手が嫌がっているにもかかわらず、強制的に誓約書を書かせると、あとになって取消し、無効を言ってくる場合が多いです。車の中、密室での話し合いや、取り囲んでの交渉はしないようにしましょう。
当事務所(行政書士村上事務所)の対応
以上のように、謝罪文、交際禁止の誓約書に関しては、弁護士の先生と行政書士とでは立ち位置が違っていることがお分かりいただけたかと思います。
初めから裁判を起こすつもりなら弁護士の先生に依頼するに越したことはありません。しかし、できれば裁判などを避けて、当事者間の話し合いのみでさっさと解決したいとは思いませんか?
そう考えるかたが、謝罪文、誓約書そして示談書の作成に関する一連の作業を、行政書士に依頼するケースが増えています。
行政書士の業務は主に文書の作成ですが、その過程で相手方への対応の仕方をご依頼者にアドバイスすることができます。
また、いきなり弁護士事務所を通して請求文書を送ってしまうと、相手方も構えてしまいます。そして、こちらに対抗するために弁護士を立ててくるでしょう。裁判になりやすいことを心に留めておく必要があります。
成功報酬料金について
費用のかからない方法として、当事務所では成功報酬で受任することがあります。
完全成功報酬の場合、着手金はなし、案件が解決して示談金額がお客様の銀行口座に振り込まれたときに成功報酬金をいただくことになります。
成功報酬であれば、成果が出なかった場合に書面代をお支払いいただく必要はありませんので、お客様の経済的損失を抑えることができます。また、経済的な利益が得られなくても、相手の対応の仕方(反省をして謝罪をしてくるのか、慰謝料を支払う意志があるのかなど)を知ることができ、貴重な証拠が得られます。
裁判前の当事者間の和解の金額は、裁判になって解決した金額よりも高いことが多く、裁判にかかる費用(裁判所手数料、弁護士費用)を考えても、有利な解決法だと言えます。また、判決が出るまでの半年から1年ほどの憂鬱な期間も解消されます。
成功報酬で受けるときは、案件が成功するように依頼者との十分な面談時間をとることになります。
慰謝料請求を成功させるためには無理のない請求額を相手に提示することが大切です。万一、成功しない場合でも相手方が提出してきた謝罪文、交際禁止の誓約書などの交渉記録は貴重な証拠になり、弁護士に引き継いだときに活用できます。
もし、弁護士の先生を紹介して欲しいとのことでしたら、無料相談で受けてくれる協力弁護士をご紹介いたしますのでご安心ください。
行政書士村上事務所の強み
開業当初から不倫慰謝料問題を専門に扱っている当事務所には、10余年にわたって蓄積してきたノウハウがあります。
業務歴10年以上の行政書士で、離婚、不倫などの分野に注力したホームページを運営し、実務をしているかたは、当職の知る限りそう多くありません。調べてみたところ、東京で数名ほど、神奈川、大阪、徳島で1人と非常に少ないです。
開業年数は行政書士の登録番号で知ることができますので確認してみてください。たとえば、当職の行政書士登録番号は第0581512号ですが、最初の五桁の数字、05815は、2005年の8月15日に開業したという意味です。登録年数10年以上の行政書士はホームページでも登録番号を掲出していることが多いようです。
日本行政書士会のホームページでも氏名、県名を入力すれば登録番号を確認できます。
日本行政書士会のホームページはこちら
最近は、開業して間もない行政書士が男女トラブルの分野に参加するようになってきました。そのような経験の浅い行政書士は、不倫慰謝料に関する業務を格安料金で受任しているようですので、当事務所の料金を高く感じるかたもいらっしゃるかと思います。
しかし、複雑な男女トラブルを解決するためには、十分な相談時間をとったうえで、相手方との文書のやりとりを何回も行う必要があります。そのため、格安料金では対応が中途半端になり、かえってお客様の利益を損なう結果になりかねません。
そうした事情から、当事務所ではお客様のご要望に応えうる十分なサービスをご提供し、それが可能な料金設定にさせていただいております。
【費用について】
当事務所にご相談を希望されるかたは、まず無料の電話・メール相談をご利用ください。
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お客様のお話しをお聞きして、最初から裁判や調停を考えているかたには弁護士の先生をご紹介し、裁判前の解決を望まれるかたには、当職が解決に向けて万全のサポートをさせていただきます。
一度お気軽に当事務所までご連絡ください。
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