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不倫慰謝料請求相談所不倫慰謝料の相場

不倫慰謝料の相場と金額

不倫慰謝料の相場については、不倫の慰謝料自体がどの程度の精神的苦痛を受けたのかという被害者の意識の問題だけに一律に決められるようなものではありません。示談で当事者同士が納得をすれば、それが支払い額となるのです。

したがって公的機関による慰謝料の算定一覧表などはありません。しかし不倫慰謝料の相場を決める基準はいくつかあります。

このページでは、過去の判例や統計資料をもとにして、慰謝料がどのように決められているのかを解説していきたいと思います。当事者間で慰謝料額が簡単に決まらない場合は参考にしてみてください。


このページの目次

  1. 結婚期間から見た不倫慰謝料の相場
    1. 婚姻期間と責任の程度による慰謝料の違い
    2. 夫婦の同居期間と離婚率
    3. 財産分与・慰謝料の婚姻期間別支払い額
    4. 協議離婚か裁判離婚か
  2. 不倫慰謝料の相場を決める主な事情
    1. 具体的にどんな事情が慰謝料に影響したか
    2. 判例でわかる慰謝料算定要素
  3. 法律家に不倫慰謝料の相場について相談する際の注意点
    1. 法律家によって慰謝料の見立てが違ってくる点に注意
    2. 弁護士と行政書士、どちらに相談すればいいの?

結婚期間から見た不倫慰謝料の相場

次の一覧表は、千葉県弁護士会が編纂した算定表です。

【不貞による離婚の慰謝料を婚姻期間、離婚原因の有責度合で算出した基準表】
婚姻期間 〜1年 1〜3年 3〜10年 10〜20年 20年〜
責任軽度 100 200 300 400 500
責任中度 200 300 500 600 800
責任重度 300 500 700 900 1000

【慰謝料算定の実務 千葉県弁護士会編】P23参照(単位・万円)
【大阪弁護士会「家事事件審理改善関する意見書より」出版「ぎょうせい」】

この参考資料は、婚姻期間を中心に分類し、次に不貞行為の悪質性を責任の程度(軽度、中度、重度)で絞りにかけて金額を出しています。

不貞行為が離婚原因となった場合、慰謝料請求金額は裁判になれば判例が一つの基準となります。
婚姻期間2年から3年であれば200万円から300万円と、婚姻年数に応じて高額になりがちです。


ここに注意!

婚姻期間が20年以上だからといって、確実に800万円以上増額するとは思わないほうがいいでしょう。



次に、厚生労働省の人口統計調査をみると、夫婦が別居、離婚した数の統計データがあります。
今は夫婦の3組に1組が離婚する時代といわれています(厚生労働省人口動態調査平成24年離婚件数23.5万件、婚姻件数67万件)。


【夫婦の同居期間と離婚率(平成22年度厚生労働省の人口動態調査を参照)】
同居期間 離婚件数 離婚率
総数 251378 100%
5年未満 82891 33%
5年〜10年 53449 21%
10年〜15年 34862 15%
15年〜20年 25618 10%
20年以上 40084 16%
不詳 14474 5.8%

【上記5年未満の詳細】
同居期間 離婚件数 離婚率
総数(5年未満) 82891 100%
1年未満 15697 18%
1年〜2年 18796 22%
2年〜3年 17735 21%
3年〜4年 16193 20%
4年〜5年 14470 17%

この資料によれば、結婚後5年以内に33%、10年以内に54%が離婚をしていることなります。ちなみに、離婚率は(離婚件数÷婚姻件数)で知ることができます(厚生労働省・人口動態調査の婚姻・離婚件数と離婚率の年次推移)。

以上のことから、結婚後3年〜5年の離婚で不貞の慰謝料は200〜300万円が多いと言えるでしょう。上記、千葉県弁護士会慰謝料算定の実務の慰謝料額と傾向は似ていることになります。


司法統計資料・家事編

【平成10年司法統計年報・家事財産分与・慰謝料の婚姻期間別支払い額】を参照
結婚期間 金額
1年未満 140.7万円
1年以上5年未満 199.9万円
5年以上10年未満 304.3万円
10年以上15年未満 430.0万円
20年以上 699.1万円
支払平均額 380.2万円

司法統計では、平成10年以降は公表していません。この表は離婚調停が成立した場合の統計ですから、200万円〜400万円以内が40%でもっとも多いといえます。

つまり、夫婦が修復の見込みがあれば慰謝料はもっと安くなるということです。夫婦関係の修復の可能性がポイントになるでしょう。

結婚7年目の離婚の慰謝料は平均で311.7万円と、意外に少ないです。不倫が原因で離婚した場合、慰謝料は200万円〜300万円くらいが多いといえます。


ここに注意!

実際、裁判で慰謝料が決まっても、探偵社費用、裁判費用、弁護士費用など50万円〜100万円くらいは経費でかかるので、手元に残る金額はもっと少ないことになります。



★以下は司法統計資料をグラフ化したものです。




不貞、離婚の慰謝料は裁判前の合意による解決が87%です。

平成20年は、協議離婚が87%、調停離婚が12%、裁判離婚が僅か1%となります(厚生労働省の人口動態実態調査を参考)。

政府発表の資料として、平成20年の厚生労働省の調査では、離婚が夫婦の話し合いで解決したのか、裁判所までいって解決したのかの統計資料があります。

【厚生労働省平成20年度6表 離婚の種類別離婚件数の年次推移データ抜粋】

総数 251,136件
協議離婚 220,487件
調停離婚 24,432件
審判離婚 84件
和解離婚 3,486件
認諾離婚 11件
判決離婚 2,636件

判決まで争っての離婚が1%なのは、多くの夫婦が離婚というプライベートな問題について公開の法廷で争うことを避けたいと思っているからでしょう。

離婚は夫婦で話し合い、協議離婚になる段階で納得のうえ解決するのがベストですが、悪くても家庭裁判所の調停の段階までには解決できるようにしたいものです。

そのためには離婚問題に関する十分な知識をもち、弁護士、行政書士などの専門家へ事前に相談することが重要になります。


ここに注意!

裁判、判例を参考にすることはいいのですが、実際に夫婦の離婚問題の87%が話し合いで解決されている現実をみると、裁判前の円満離婚が望ましいのだということがよくわかります。



不倫慰謝料の相場を決める主な事情

不倫慰謝料、離婚慰謝料の金額を算定する際に重視される主な事情を、判例は以下のように検討しています。様々な事情が慰謝料の増額、減額の要素となります。

各項目(一部を除く)には根拠となる判例について、裁判所と年月日を記載しました。また、判決文の中で、それぞれの慰謝料に影響を及ぼしたと思われる「フレーズ」も載せておきました。

どの程度の影響があったのかは事件の具体的な内容によって違っていますので、判決の全文を知りたいかたは裁判所と年月日を参考にして調べてみてください。


(WLJ参照)
婚姻期間
結婚期間が長ければ、不倫による被害額は大きいと評価され、慰謝料が高くなります。また、結婚期間が5年以上の場合は、離婚したときに子供へ与える影響も考慮されます。上掲の【慰謝料算定の実務】をご参照ください。

<東京地方裁判所 平成20年10月3日>
婚姻期間が2年半程度に過ぎなかった

<東京地方裁判所 平成19年10月17日>
婚姻期間20年を超え
年齢
例えば40才代男性が20才の女子学生と不倫をした場合などは、40才代男性の責任が大きいとされがちです。
不倫前の結婚状況
夫婦仲がもともと悪ければ、不倫者の責任は軽くなります。また、既婚者のほうが「夫婦関係はすでに破たんしている」などと嘘をついて不倫をした場合は、それを信用した相手側の責任が軽減されることもあります。

<東京地方裁判所 平成22年8月25日>
夫婦間に喧嘩が絶えなく、離婚の話もでていた状況であり夫婦が円満ではなく不倫相手にのみ責任があるとはいえないとし、慰謝料150万円を認容した。
不貞行為の期間と回数
不貞行為の期間が比較的短期(数ヶ月あるいは数回)の場合と比べると、長期(1年以上)の場合の方が不貞行為の悪質性が強いと判断されるようです。

<東京地方裁判所 平成29年9月13日>
「SNSをきっかけに不倫が1年以上に及んだこと」

<東京地方裁判所 平成22年9月3日>
不貞行為が2ヶ月ほどの短期間であったことをあげ、慰謝料100万円を認定。

<東京地方裁判所 平成25年3月21日>
「不貞行為は1回にすぎない」

<東京地方裁判所 平成20年10月3日>
「肉体関係3回に止まる」
積極性
会社の上司が、立場上ことわりづらい部下の女性を誘ったなど、肉体関係をもつことに積極的だったほうの責任が重くなります。

<東京地方裁判所 平成22年7月14日>
被告の積極性を認定し、慰謝料150万円。
修復可能性
夫婦関係が修復できるかどうかも判断の材料になります。不倫が原因で別居し、事実上の離婚状態にある場合などは、夫婦関係の修復は困難と見なされ、慰謝料が高くなります。

<東京地方裁判所 平成19年10月17日>
「不貞行為を止め、夫婦の修復の可能性がある
子供への影響
子供の年齢によります。子供が幼いほど精神的に不安定になりやすいため、不倫の被害が子供にも及ぶと考えられます。従来の判例では、子供を苦しめる目的で不倫をするなど極端なケースでない限り相当因果関係は認められないとする見解が主流でした。しかし、最近は地方裁判所などで子供への影響を考慮した判例も出ています。

<最高裁判所 昭和54年>
子への被害と相当因果関係がないので慰謝料は認めていない。

<東京地方裁判所 平成22年4月27日>
幼少の子への精神的苦痛を認めている。
離婚後の経済状況
特に子供を抱えた女性が生活に困窮しやすいため、増額されることがあります。
関係の継続
不倫者が別れると言ったのに、密会して関係を継続していた場合などは悪質だと判断されます。

<東京地方裁判所 平成19年2月21日>
いったん別れると言いながら密会、不貞を継続していた。
夫婦の別居
不倫前から夫婦が別居している場合、別居期間が長ければ長いほど、不倫者の責任は軽くなります。

<東京地方裁判所 平成23年6月7日>
別居が不貞の原因であることを認め150万円の慰謝料を認容。

<名古屋地方裁判所 平成29年9月15日>
不貞行為による別居の事実を認め、慰謝料110万円を認容。
異性関係
もともと異性関係がだらしないなど。

<東京地方裁判所 昭和55年9月29日>
不貞相手が数人いたことを指摘し、慰謝料を100万円で認定。
職業、収入など
「経済的に裕福なので不倫は簡単に金で解決できる」といったように、遊興費程度にしか思っていない人はたくさんとられます。

<東京地方裁判所 平成13年8月30日>
患者の女性と不倫をした医師に対して400万円の支払を命じた。
略奪婚を狙っている
愛人が子供をつくり、夫婦を離婚にもっていくなど。
暴力、虐待
暴力、虐待などがあれば当然、慰謝料は高くなります。

<東京地方裁判所 平成23年4月12日>
シェルターに避難するほどの暴力があった。
謝罪したかどうか
不貞行為により精神的苦痛を負った被害者に対して加害者が謝罪をしたかどうかが慰謝料に影響を及ぼすこともあります。

<東京地方裁判所 平成19年5月28日>
謝罪があったことを考慮し減額。

<東京地方裁判所 平成22年3月25日>
不貞を否認し、謝罪すらしていないことを増額の理由とした。
財産分与
不貞行為が原因で離婚した場合、不倫の慰謝料と財産分与の金額が問題となります。上掲の資料【司法統計資料・家事編】の支払い額には財産分与の金額が含まれていますが、離婚協議書、示談書などには慰謝料と財産分与を分けて記載する必要があります。夫婦の共有財産(住宅を共同で購入したときの住宅ローンの残債など)の清算にかかわることなのでご注意ください。

<東京地方裁判所 昭和48年1月30日>
慰謝料と財産分与は性質が同じではないので、財産分与とは別途に慰謝料を請求できる
不貞行為の証拠
不貞行為の証拠は慰謝料の請求に不可欠です。裁判では、肉体的関係をもったという証拠がなければ、単なる友人・同僚との会談と見なされ、慰謝料の請求が認められません。

<東京地方裁判所 平成23年1月11日>
夫婦の別居前から相手が交際していたという証拠はないとし、請求を棄却。
不倫問題を解決するための費用
例えば、探偵社の調査費や弁護士への報酬など、問題解決のためにかかった費用も考慮されます。

当事務所の無料相談でも、「不倫期間〇ヶ月だと慰謝料はいくらになるでしょうか?」と質問されるかたがいますが、上記のような諸条件を検討して相手への請求額を決めることが重要です。


次に、慰謝料に影響を及ぼす要素を、判例の文節から抜粋してみました(WLJ参照)。

1 不貞の悪質性に触れた要旨
東京地方裁判所 平成19年2月21日

被告には不法行為に基づく損害賠償義務があるとした上で、被告は、原告に繰り返し交際を止めるよう注意されていながら、その後もAと交際を続けていたものであり、その行為態様は悪質であるとして、原告に対する慰謝料は200万円が相当であるとする一方、原告はAから不貞行為の慰謝料として70万円の支払を受けていることから、130万円の支払を求める限度で原告の請求を認容しました。

この判例では、原告が交際を止めるように注意したのに交際を続けていたという点で、その悪質性を指摘しています。
2 不貞といえる肉体関係の証拠はないが、被害感情で慰謝料を認めた判例
東京地方裁判所 平成19年1月25日

原告が、その夫と交際していた被告に対し、不法行為に基づく損害賠償等の支払を求め、これに対し被告が、原告の夫から強く交際を迫られたので、同人に対し好意があるように装っていただけであるとして争った事案において、原告の夫と被告間のメール内容、被告の子と3人で外出した事実などから、被告と原告の夫との間の結婚を前提とする内容の交際の様子が窺われ、それを発見した原告に精神的な痛手を負わせ、それが原告夫婦間を破綻に導いていることは明らかであるとしつつも、原告の夫と被告間に肉体関係が立証されていないこと、原告の夫の積極的な行動から2人が恋愛関係に至ったことなどを勘案して、慰謝料額は50万円が相当と判断しました。
3 夫婦の別居の原因が不貞行為にあるとした判例
名古屋地方裁判所 平成29年9月15日

不貞行為による別居の事実を認め、慰謝料110万円を認容した判例です。被告とAとが肉体関係を持ち、それを原告が知るに至って、原告とAとの婚姻関係が実質的に破たんしたなどとして、原告が受けた精神的苦痛を慰謝するためには100万円が相当であり、弁護士費用は10万円であると認めました。
4 過去の不貞の事実から、深夜の面会が不貞の再発を予想できるとした判決
東京地方裁判所 平成25年4月19日

原告の主張する不貞行為の存在は否定したが、かつてAと不貞関係にあった被告が深夜の時間帯にAと面会していた行為は、被告がAと再び不貞関係を再開したのではないかとの疑いを抱かせるのに十分な行為であり、原告とAの婚姻関係を破綻に至らせる蓋然性のある行為であるとして、その不法行為該当性を肯定し、慰謝料80万円を認めました。

以上のように、男女交際の状況は多様です。それだけに慰謝料の金額を簡単に決めることはできません。似通った判例、事例を検討しながら妥当な請求金額を探っていきましょう。

★不倫慰謝料をご自分で計算してみたいという方は、慰謝料計算WEBをご覧ください。


慰謝料の相場について法律家に相談する際の注意点

不倫慰謝料の相場についてある程度知っておくためには、これまで見てきたように過去の判例を調べる必要があります。しかしこの作業は、一般のかたには少し難しいと思われますので、あまりお勧めできません。やはり、法律の専門家に相談をするのが一番早いでしょう。

そこで、専門家に相談する際に注意すべき点をいくつかあげておきます。


法律家によって慰謝料の見立てが違ってくる点に注意

例えば、不倫慰謝料の相場を知るために弁護士事務所の法律相談を利用した場合、相談した弁護士さんによって回答が違ってくることがあります。これには困惑されるかたも多いと思いますが、なぜ弁護士さんによって慰謝料の見立てに違いが出てくるのでしょうか?

その理由として、不倫の違法性に対するとらえ方、立ち位置の違いがあげられます。例えば、不倫の違法性に関する考え方には、次の二つのスタンスがあります。


  1. 不倫は家族関係を壊す行為であり、不倫相手の責任は重いという考え方
    1. 不貞行為は、配偶者(夫・妻)の平穏な結婚生活の保護法益を脅かすので、それに加担した不倫相手にも大きな責任があるということです。日本では古くからこの立場をとる判例が多く、今でも主流となっています。

  2. 不倫は配偶者との問題であり、不倫相手の責任は否定するという考え方
    1. 一方が不貞行為をするような夫婦関係はすでに破たんしているので、不倫相手に責任を問うよりも、不倫をした配偶者(夫・妻)との間で問題を解決すべきだという考え方です。こうした見解に立てば、不倫相手の責任は(夫婦関係を壊してやるという極めて悪質な意図がない限り)軽い、もしくは全くないと判断され、慰謝料に関しても大幅に減額か、0円ということになるでしょう。北欧やアメリカ(フロリダ州、ニューヨーク州など多くの州)ではこの考え方が一般的です。

「不倫は文化なり」というフレーズは極端かもしれませんが、日本の法律の世界にも、2のような新しい考え方をもつ専門家がいないわけではありません。

訴訟を考えているかたは数人の弁護士さんに相談しておくことをお勧めします。


弁護士と行政書士、どちらに相談すればいいの?

法律家に相談する場合は、弁護士、行政書士のどちらを選ぶべきなのでしょうか?

裁判ができるのは弁護士だけなので、最初から裁判を希望をするのであれば、弁護士に相談、依頼すべきです。

しかし、裁判までしたくはなく、できれば当事者間の話し合い(文書のやりとり)のみで早期に解決したいという場合は、行政書士に依頼するのもひとつの手段です。

行政書士が作成した文書を郵送すれば、相手も請求金額が妥当かどうかを専門家に相談すると思います。 そして、請求された慰謝料が妥当な金額だとわかれば、裁判までして高額の慰謝料請求事件にするより、支払って裁判費用を抑えたいと考えるでしょう。 その結果、お互いに無駄な費用と労力を使うことなく、win-winで解決できるというケースもよくあります。



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